デザインの生産性向上のために気をつけたい5つのこと

Angelica Valentine

オークランド出身でProto.ioのコンテンツエディターであるAngelicaは音楽や食文化、ベイエリアを中心として開かれるカルチャーイベントに参加するのが大好きです。

この記事はProto.ioからの翻訳転載です。配信元または著者の許可を得て配信しています。

Slow Design and 4 Other Design Hacks You Need to Know

デザイン業界は目まぐるしい速さで移り変わっていき、そんな中私たちは競合他社に追いつかれないよう、または投資家の期待に応えようと奮闘しています。これは暗に、デザインのアンテナをつねに張り巡らせておくべきだということを意味しています。デザインハック、つまりデザインの生産性向上への取り組みに関するアイデアについて、私たちは多くのデザイナーたちの視点を探り、日々、それをどのように実践しているのか聞いてみました。

私たちの質問は主に次の3つでした。

  • より短時間で、より良いデザインを実現したいと願うデザイナーたちにどのようにアドバイスしますか?
  • スローデザインのメリットはなんでしょうか?
  • 仮に時間的な制限がないとしたら、デザイナーはなにを作るでしょうか?

結果、私たちの発見は以下の通りでした。

走り出す前に目的をはっきりさせる

全力で作り上げたものが無駄になったとき、本当にがっかりしますが、デザインの作業を始める前にすべてのプロジェクトの詳細を把握しておけば、そのような状況は簡単に防ぐことができます。状況を事前に把握することで、最終的なデザインにインパクトを与える前に、デザインを依頼する側の期待値と実際の作業とのズレを話し合い、調整することができるのです。

The Digital PandaのクリエイティブディレクターであるTibor Tovt氏が、それを的確に言い表しています。彼は、より短時間でより良いデザインを目指したいデザイナーたちに向けて「ソリューションを探すことよりも、問題がなにであるかを正確に捉えることが大事だ」とアドバイスしています。プロダクトに関わるすべての人が問題を認識し、1つのゴールを目指すことで作業を始めることができるのです。

この共通認識を確認したのちに、デザインプロジェクトを推進しているものと、障害となっているものについて共通の理解が得られます。プロジェクトの目的をどう達成するかについては、ときに妥協しなければならない場合がありますが、全体として考えると、この調整を事前に行うことで時間を節約することができます。

チームのメンバー全員の方向性が同じであるということを確認するために、ちょっとしたミーティングが重要なのです。

車輪の再発明はしない

すべてのデザインをなにもないところから始める必要はないのです。作り上げるものはオリジナルで、倫理観のあるものでなければいけませんが、ちょっとした近道をするのは悪いことではありません。

Edge of the WebのクリエイティブディレクターであるSam Orchard氏は、デザインパターンは、時間を節約したいデザイナーたちにとって非常に貴重なリソースであると考えています。さらに、ストックイメージ、既製のアイコン、またはデザインのテンプレートを探しだすことで、しっかりした開始点の基盤を固めることにもなるのです。デザインは何もないところから突然生まれたりはしません。他のデザイナーからインスピレーションを得て、創造性を高めてくれるツールを利用することは、一般のデザイナーだけでなく世界の最高レベルで活躍するデザイナーたちも実践していることです。

テクノロジーの世界における一般的な自動化について考えてみましょう。地球の反対側から離れた場所にいるチームメンバーに手紙を郵送することはまずありえません。メールかチャットでより迅速に連絡を取り合うでしょう。同様に、プロトタイプツールを使用すると、エンジニアのチームが最終的に実行不可能だと判断するまで多くの時間を費やすことなく、アイデアをより迅速に検証できます。デザイナーには数えきれないほどのソフトウェアの選択肢があります。いくつか試してみると、どのツールが自分やチームにもっとも適しているかがわかってくるでしょう。

フィードバックは早めに頻繁に

デザインは他のチームと隔離されるべきではありません。チームがプロジェクトの目標とアプローチについて既に意見が一致している場合でも、マイルストーンの確認は必須です。チームメンバーやステークホルダーとつながっていれば、プロジェクトが横道にそれた場合であってもすぐに軌道修正することができるからです。短期間で完成させるために、休む間もなく全力でプロジェクトを仕上げたにもかかわらず、それが最終的な決定権を持つ人のニーズを満たさないものであったという状況は、誰でも避けたいはずです。

自分のスタイルに合ったものを探す

デザイン業界での長い経験から得た、デザインへの取り組み方の一つは、自身の好みや嗜好を理解することだと言えます。あなたは仕事において、朝型ですか? それとも夜型ですか? 午後の時間には仕事から抜け出して、カフェにでも行って気分転換したほうがパフォーマンスが上がるほうですか? 最高のデザインハックとは、あなた自身にとってもっとも効果的なものを見つけることなのです。これらの取り組み方をいくつかを試してみたり、もしくはその中のどれかからインスピレーションを得て、自分なりの戦術を考え出すのもいいでしょう。自分にもっとも効果的なものをみつけたら、それをチームのメンバーと共有し、あなたが最高の仕事をする環境を整えましょう。

余裕があるときにはスローデザインを意識する

生産性の高いデザイナーであることは素晴らしいことですが、デザインのプロセスを減速させるタイミングを知ることも大事です。いま、作業中のプロジェクトに関して、完璧に機能する二つとない優れたアイデアを最後にひらめいたのはいつだったか、そしてそれを実行にまで持っていけたのはいつだったか、一度考えてみてください。多分、あなたの答えは「そんなことは一度もなかった」ではないでしょうか。

適切な人材が集まったチームでアイデアを出し合うことは効率的で楽しいものです。

M3 GroupのグラフィックデザインのスペシャリストであるCody Fell氏は、スローデザインのコンセプトを採用しています。

「最初のアイデアが最高のアイデアとなることはめったにないものです。それにプロジェクトの進行が急を要しているときは、デザイナーたちがデザインをテストしてみたり、最適なソリューションを見つけ出すために十分な時間をかけることができません。」

我々Proto.ioは、デザインに全力を注ぐことはもちろんですが、仕事から距離を置くことができる環境も歓迎しています。それによって新鮮な視点でのアプローチが可能になり、新しい視点を取り入れることで、最初の繰り返しを改善できるのです。ただし、このようなデザインへの取り組みを守るためには、デザイナーのアプローチをプロジェクトに実際に反映させるための時間を考慮に入れたタイムラインの設定が必要となります。期限がとても短く設定されていると、選択したアプローチが最適かどうかを熟考するための十分な時間をかけられず、ただ時間との戦いの末にデザインを完成させることになります。

スローデザインのもう1つの長所は、作業のクオリティです。Fell氏は、「スローデザインのメリットは、主に信頼性と精度にあります。また、なにかを急いで完成させた場合、ミスは避けられないものです。より長い時間を作業時間にあてることで、デザイナーはゆっくりと、すべてを再確認し、ミスを減らすためにすべてを構造化することにさらに多くのこだわりを持つことができるのです。」

最高のデザインは完璧である必要はありませんが、高いクオリティを保つべきです。コンセプトをテストして、さまざまなアプローチを試す時間を持つことで、生産性は確実に向上することでしょう。

ただし、スローデザインには避けて通るべき短所もあります。Sam Orchard氏は「デザインにかける時間はつねに最終的には収益の減少につながるのです。時間の制約を気にせずにスタイルの微調整や変更を繰り返すことは、実質的な利益をあきらめることになるのです。」と述べています。

デザインプロジェクトに思った以上の時間がかかってしまうことは大いにあり得ることです。作業の手を止めて、プロジェクトから距離をとってみるのは非常に重要であり、これは試行錯誤する間に必要なものでもあります。ここが、締め切りという、時間を節約するための基準が重要になるポイントです。必要に応じてプロジェクトの再検討やテストを行うことはできますが、最終的な締め切りは、確実な方向性の判断材料となってくれるでしょう。

実験が可能なタイミングなのか、特定のアプローチに落とし込むべきタイミングなのか、見極めが大事です。

デザインにはフィニッシュラインが必要

私たちはみな、それぞれのTo Doリストに特に期限が設定されていないプロジェクトを持っているはずです。これらの項目は、優先順位の高い項目にどんどん押されて、リストの最後に追いやられることもあるでしょう。デザインにおいても企業全体においても、より多くの時間をかけたからといってより良い結果をもたらすとは限らないのです。実は私たちはデザインにおいて立ち回れるようにしておきたい制約のリストをまとめてみました。デザインにおいてはつねに付きまとい、私たちはしばしばそれについて揉めざるを得ないのです。

スローデザインをしたからといって何かが直接的に良くなるというわけではありません。スローデザインはアプローチや戦略を再検討するための時間を与えてくれるのです。一方、締め切りがあることによって集中を強いられることになります。たとえばモバイルアプリの再設計の原案を1か月以内に終える必要がある場合、ユーザーからフィードバックを収集してプロジェクト計画に組み込む充分な時間はないでしょう。これは、ユーザーが提案しうる、すべての提案をひとつひとつ考慮することを避けるという意味で、肯定的な制約といえます。代わりに、フィードバックを共通のテーマにまとめて、より効率的な方法で組み込むことができます。

まとめ

有能なデザイナーとして認められるには、自分のスタイルを知ることが大事です。チームの共通認識をまとめ、1つの目標に向かって前進するための多くの方法がありますが、頻繁に確認し合ったり、プロジェクトの進捗状況に基づいて正しい方法を選択したかどうかを検討したりすることは、特に骨が折れるものです。デザイン業界のスピード感は速く、多くのクライアントはデザインをできるだけ早く欲しがる中、より意識的なデザインフローを心掛けることで、前に進むことができるでしょう。


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